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2024年度加入ステーション数
(2024年12月31日現在)
716ステーション

今年度の活動方針

 訪問看護の対象は小児から高齢者まで幅広く、在宅療養者の生活課題は複雑化、複合化し、医療ニーズは高く、重度化し、小児、精神障がい、認知症のケースなど多様化している。訪問看護師には、質の高い看護サービスの提供者として今後ますます幅広い役割を担っていくことが期待される。
 さらに、新型コロナウィルス感染症の拡大・長期化や自然災害の増加により、訪問看護ステーションはあらゆる有事にそなえた新たな対応が求められている。
 東京都訪問看護ステーション協会では、都内で働く訪問看護師が誇りと喜びをもって働き続けられるよう支援するとともに、地域共生社会の実現を目指す。

1.東京都の訪問看護ステーションの現状把握と課題分析により将来ビジョンを策定し、人材確保、資の向上、多様化への対応及び訪問看護事業の安定化に向けた支援を行う。

 1)訪問看護のサービスの安定的供給のために人材確保・定着に対する支援
 2)訪問看護の資質の向上のための人材育成
 3)訪問看護ステーションの多機能化の推進

2.東京都内の各地区の特徴を生かした地域共生社会の実現を目指す。

 1)災害や感染症に対する訪問看護ステーション同士の連携及び多職種連携により地域住民を支える体制の構築
 2)地域住民や関係者への訪問看護の推進と普及啓発に向けた取り組み
 3)住民や地域の多様な主体が参画する地域のネットワーク構築に向けた取り組み

理事会

第1回 (令和3年6月30日)
 審議事項
 1)令和2年度事業報告・令和3年度事業計画    確認
 決算報告・予算
 2)新任理事の紹介

第2回 (令和4年3月25日)
 審議事項
 1)平成3年度事業報告・決算報告について
 2)令和4年度事業計画・予算案について
 3)常勤職員の雇用について

第3回 (令和4年6月1日)
 審議事項
 1)令和3実績・決算報告について
 2)令和4年度計画について
 3)令和4年度予算案について
 4)公益法人へ向けての準備について
 5)令和5年度東京都予算への要望について

総務会

第1回 (令和3年6月30日)
 審議事項
 1)令和2年度事業報告・令和3年度事業計画    確認
 決算報告・予算

第2回 (令和3年7月30日)
 審議事項
 1)東京都への予算要望に関する事項について

第3回 (令和3年9月22日)
 審議事項
 1)杉並区 (自宅療養者への訪問看護に関する協定書の締結について)
 2)東京都バッテリーシェアリング事業 (板橋地区で試行事業として)
 3)東京都看護協会 東京都訪問看護人材確保事業への資料提供について

第4回 (令和3年10月22日)
 審議事項
 1)委員会等規定作成に向けて
 2)関東甲信越訪問看護ステーション連絡協議会・協議会・協会 連絡会議
 3)HIV感染症看護師相互交流シンポジウム-首都編-共催依頼について

第5回 (令和3年11月24日)
 審議事項
 1)次年度目標について
 2)災害対策本部の設立について
 状況報告について

第6回 (令和3年12月27日)
 審議事項
 1)次年度目標について
 2)災害対策本部の設立について

第7回 (令和4年2月14日)
 審議事項
 1)次年度計画について
 2)ホームページ改訂(案)について
 3)そわにえ増ページについて(8P→12Pへ)

第8回 (令和4年3月25日)
 審議事項
 1)総会要項 (令和3年度事業・決算報告、令和4年度事業計画・予算) 確認
 2)常勤職員の雇用について

第9回 (令和4年4月20日)
 審議事項
 1)今年度実績・次年度計画について
 2)令和4年度予算案について
 3)RV制作協力依頼について
 4)キャリアラダー(ナーシングビジネス)への転載許諾依頼につい
 5)東京都オンデマンド研修事業のコンテンツについて

第10回 (令和4年6月1日)
 審議事項
 1)令和3実績・決算報告について
 2)令和4年度計画につい
 3)令和4年度予算案について
 4)公益法人へ向けての準備について
 5)令和5年度東京都予算への要望について

委員会活動

訪問看護推進委員会 (11回開催)

Ⅰ.活動目標
 1.看護学生が訪問看護師の役割と魅力を理解できるように、どんな状況でも情報提供できるように働きかけ、訪問看護ステーションへの就職に向けた推進活動を実施する
 2.療養者が安心して自宅で生活できるように、様々なニーズに応えられる訪問看護を知ってもらうための推進活動を行う
 3.病院看護師や看護学生と訪問看護師が交流をすることで、訪問看護をより知ってもらえる機会を作る

Ⅱ.活動(内容)
 1.COVID-19の感染拡大にともない名称を訪問看護インターンシップと変更し、3回のon-line で実施し7名の看護学生の参加があった。また、パンフレットを作成し、視覚的にも具体的な道筋が立てられるよう工夫した。その結果、On-lineのメリットの参加のしやすさと、現役の訪問看護師と直接交流ができたことで、より具体的な話ができ訪問看護師として働くことのイメージ化を促進することができた。より多くの看護学生の参加ができることが課題である。
 2.東京都民に訪問看護を知ってもらうための東京都の事業である、訪問看護フェスティバルは終了となった。看護フェスタは感染状況を踏まえWEB開催となり、東京都訪問看護ステーション協会の事業をアピールすることができた。
 3.病院看護師との交流をするための目的を明確にするために議論を進めている段階のため、交流までは企画できなかったので次年度の課題である。

広報委員会 (5回開催)

Ⅰ.活動目標
 1.会員及び各委員会に向け、協会内活動が理解でき、また会員事業所や支部活動などの情報発信できる広報誌の作成
 2.会員や東京都内の訪問看護ステーションが、広報を通して人材育成・ケアの質向上に向けた取り組みができるような情報発信できる広報誌の作成
 3.ホームページやSNSなど、広報誌以外媒体を通して、より多くの会員が閲覧できる広報発信の強
 4.広報活動を通して、医療機関や多くの医療者、都民へ訪問看護の役割や活動を発信する

Ⅱ.主な活動内容
 1.紙面を4ページ増やし、協会の取組みや委員会の活動内容をより一層理解ができる広報誌(そわにえ)を7月と1月に作成し配布した。
 2.協会実施したコロナ感染症研修について広報誌(そわにえ)を通し、会員や関係機関にその活動内容を配信した。
 3.ホームページの内容検討をしつつ、メルマガ配信をした。
 4.広報誌は会員だけでなく、都内の病院の地域連携部門宛に協会会員ステーションリストと共に送付した。
 発行部数は7月3000部、1月3150部であった。

研修委員会 (概ね1ケ月に1回程度開催)

Ⅰ.活動目標
 1.東京都内の訪問看護師に向け新人看護師へ訪問看護の独自性や魅力を伝えることで、訪問看護師としてのアイデンティティを育成し人材定着につなげる。
 2.中堅看護師のキャリア開発や教育指導方法の支援、あるいは、ケアにおける倫理的課題や組織内課題を乗り越えられるようサポートし、事業所のケアの質の向上につなげる。

Ⅱ.主な活動内容
 1.総務会と協働で訪問看護師の質の向上及び事業所内で教育や学習の補助となる研修の実施
  ●精神科算定要件研修1回/年
  ●請求業務研修1回/年
  ●災害対策研修2回/年
  ●フィジカルアセスメント研修4回/年 (東京都医師会との共催)

2.キャリアラダーに沿った研修の実施
  ●新人向け 新任訪問看護師研修~きほんのき~研修2回/年
  ●中堅向け 実習指導者研修1回/年
  ●中堅向け キャリアラダー指導者研修1回/年
  ●中堅向け 倫理的課題への対応研修1回/年

2021年度 東京都訪問看護ステーション協会研修会実績

研修名 配信 受講者数 会員 非会員
新任訪問看護研修きほんのき 毎月15日から10日間 100 96 4
災害対策研修 8月から配信 1329 (アクセス数)
訪問看護キャリアラダー実践編 8月から配信 196 3
新型コロナウイルス感染症対応 8月から配信 1226 (アクセス数)
請求業務研修 11/1,12/1,1/15から10日間 79 66 13

集合またはONLINE研修

研修名 配信 受講者数 会員 非会員
実習指導者研修基礎編 第1回 5/22(土) 13 13 0
人材採用・育成・定着のための研修 8/2(土) 8 6 2
実習指導者研修基礎編 第2会 9/25(土) 12 12 0
看護倫理とACP 10/2(土) 9 9 0
在宅におけるリンパ浮腫ケア 12/18(土) 48 40 8

精神科訪問看護研修 ~基礎編~ オンデマンド、オンライン併用

研修名 配信 受講者数 会員 非会員
精神科訪問看護研修第1回 5/1~5/30 35 33 2
精神科訪問看護研修第2回 9/1~9/30 50 45 5
精神科訪問看護研修第3回 1/5~2/4 57 50 7

シミュレーターを活用したフィジカルアセスメント研修会

研修名 配信 受講者数 会員 非会員
呼吸・循環 10月9日 5 5 0
呼吸・循環 12月11日 5 5 0
呼吸・循環 2月12日 オミクロン型コロナ蔓延の為中止
エコー 3月12日 オミクロン型コロナ蔓延の為中止

地区支部委員会 (概ね年に1回開催+地区支部会を年2~3回開催)

Ⅰ.活動目標
 1.地域の訪問看護ステーション同士の横のつながりを強固なものにし、地域行政、多職種との連携協働を推進し、コロナ禍での地域共生社会実現に貢献する。
 2.ICTやオンラインなどのメリット・デメリットを理解し、効果的かつ効率的な地区支部活動を通じて、訪問看護の質を高める。
 3.地域特性に応じたネットワークを作り、感染症及び災害に対応できる訪問看護の体制を整える。

Ⅱ.主な活動内容
 1.「東京都新型コロナ感染症自宅療養者への訪問看護事業」が8月より開始となり、地区支部ごとに取り組みについて協議することで、地域の訪問看護ステーション同士の横のつながりが深まり、地域行政との連携協働の推進につながった。
 2.「東京都新型コロナ感染症自宅療養者への訪問看護事業」について、25支部で受託契約し取り組みを開始した。コロナ禍における訪問看護ステーションの役割を地域の行政に周知する機会となった。
 3.「東京都新型コロナ感染症自宅療養者への訪問看護事業」開始に伴い、オンラインでの意見交換会を3回実施し、地区支部委員及び事業受託した訪問看護ステーションが参加した。オンライン開催だったので、効率的に実施することで、タイムリーな情報共有ができ、訪問看護の質の向上につながった。

災害対策委員会 (4回開催)災害対策委員会 (4回開催)

Ⅰ.活動目標
 1.地域共生社会において地域での災害看護の役割が行えるように、災害対策研修の企画、災害訓練を通してステーションの防災対策、支援内容を検討する。
 2.災害対策に活用できる「災害時対応マニュアル」改訂版を作成し発行する。
 3.災害時ネットワークシステムの運用を検証し、災害時のネットワーク体制を構築する。

Ⅱ.主な活動内容
 1.地域の防災意識を高めるために、11月20日に災害訓練として「みんなに伝えよう:災害訓練~災害時に活用できる支店と行動を学ぼう」をオンラインで実施し、50名近くの参加があった。
 2.災害の知識、事前準備、発災時の行動、利用者の自助力を高める内容を含めた「災害時対応マニュアル」改訂版は作成中である。
 3.災害時ネットワークシステムのフォーマットの改定・運用方法を検討中である。

訪問看護将来ビジョン構想プロジェクト (概ね1ヶ月に1回開催)

Ⅰ.活動目標
 地域共生社会の実現を目指し、東京都の2040年を見据えた訪問看護の2025年までの将来ビジョンを明確にし、実効性を高めるため会員に向け具体的な周知を図る。

Ⅱ.主な活動内容
 1.会員ステーションにアンケート実施し、訪問看護師の定着、人材育成、多機能化について実態を把握、分析を行った。
 2.東京都の基礎データ及びアンケート結果をもとに「東京都の訪問看護将来ビジョン~2025年に向けて~」を作成した。
 3.令和4度東京都訪問看護ステーション協会の活動方針案を検討した。

行政及び外部委員会との協働

Ⅰ.活動方針
 地域包括ケアの一員として、行政及び関係団体・多職種との連携協働を深める。

Ⅱ.活動内容
 A.行政からの委託事業
 1.東京と医療的ケアの必要な児童・生徒の通学車両整備事業(東京都教育庁)
 令和3年4月~令和4年3月31日まで 実施分
  (1)基本的に訪問看護を契約している児童・生徒を対象に支援した。
  (2)対象となる契約児童がいるステーションが、協力可能な範囲で依頼した。
  (3)対象学校数:16校  協力ステーション数:33事業所
  ・対象児童・生徒:43コース 61名
  ・実施回数合計  登校便 4,498回  下校便 3,101回 

 2.東京都訪問看護師オンデマンド研修
  (1)実行委員会開催:4回
  (2)eラーニング作成  4項目(委員が主体となり、学習内容作成)
  (3)NET受付配信システム作成:業者委託
  (4)オンデマンド研修受講者募集 都内訪問看護事業所、看護小規模多機能事業所へ
  チラシ3回配布、ホームページ掲載
  応募者102業所290名へID発行(管理者102名を含む)
  (5)受講生対象のONLINE(ZOOM)勉強会・交流会開
   第1回 令和3年10月21日(土)ウィズコロナと多職種連携 46名参加
   第2回 令和4年3月22日(火)訪問看護師役立つ最新情報  55 名参加
  (6)受講生および事業所の管理者対象の相談会:電話、メール、ONLINE面談利用で期限を決めず募集したが、応募者はなし

 3.東京都新型コロナ感染症自宅待機者への訪問看護事業
  1)令和3年8月17日~令和4年3月31日 実施分
  (1)24市区、157事業所が参加
  ・実施報告延べ日数 3,796(0件/日を含む)
  ・医師の指示による訪問数  83件
  ・保健所依頼による訪問数 315件

4.墨田区委託事業
 1)認知症初期集中支援事業(令和3年4月1日~令和4年3月31日)
 ・支援対象者 19名
 ・訪問支援  136回
 ・チーム員会議12回

 2)墨田区多職種連携研修(令和3年7月25日~令和4年3月31日)
 ①研修会企画会議
 ②研修会実施「墨田区における災害対策について」 令和3年12月4日ONLINE(ZOOM活用)
 参加者 99名(医師、薬剤師、ケアマネ、訪問看護師、理学療法士、作業療法士)

 3)在宅人工呼吸器療養者の災害時支援マニュアル作成
 ・新規2件、更新新規1件、更新9件)

 4)新型コロナ関連
 ①自宅待機者への状態観察対応派遣 9名
 ② 新型コロナワクチン接種支援 7月~9月 4会場へのべ 833名協力
                2月~3月 4会場へのべ 271名協力

 5.文京区委託事業(文京区地区支部)
 1)認知症ともにパートナー事業事務局契約
  ・実績48件
  ・会議12回

 6.港区との契約(新型コロナ感染者への訪問看護について)(港区地区支部)

 7.杉並区との契約(新型コロナ感染者への訪問看護について)(杉並区地区支部)

 B.行政との調整会議
  1.東京都新型コロナ感染症患者への訪問看護事業について 3回(会長、副会長)
  2.東京都交代カクテル事業に関する意見交換 3回(会長副会長)
  3.東京都難病患者在宅レスパイト事業について 3回(会長、副会長)

 C.外部委員会活動
 1.訪問看護連絡協議会全国会議(日本看護協会)(1回)(事務局)
 2.全国都道府県訪問看護連絡協議会交流会(全国訪問看護師事業協会)(1回)(副会長)
 3.関東甲信越地区訪問看護ステーション連絡協議会・協会ブロック会議開催
  令和3年11月5日(金)18:00~20:30(今年度事務局担当)
  ZOOMにて開催
  東京都、神奈川県、千葉県、埼玉県、茨城県、栃木県、山梨県、長野県、新潟県
  各県から2~3名参加、東京都は会長、副会長2名、理事3名計6名および事務局
 4.東京都看護管理者連絡会幹事会議(2回)(理事2名)
 5.東京都看護管理者連絡会研修会(2回) (理事及び各ステーション管理者)
 6.東京都特殊疾病対策協議会・医療連携支援対策部会(2回)(会長)
 8.東京都ナースプラザ運営員会(2回)(会長)
 9.東京都医師会「地域包括ケア委員会」:(毎月第4木曜日)(会長)
 10.東京都医師会「東京都多職種連携連絡会」(毎月第2木曜日)(会長)
 11.東京都薬剤師会「訪問看護ステーション・ケアマネジャー・医療機関等との連携による在宅医療服薬支援事業関係者連絡会」(1回)(会長)
 12.東京都新型コロナウィルス感染症対策医療介護福祉サービス等連携連絡会(会長)
 13.東京都新型コロナワクチンミーティング(2回)(会長)
 14.東京都難病対策地域協議会(1回)(会長)
 15.東京都予算に関する要望提出(東京都看護協会・東京都看護連盟と協働、
   東京都、都民ファーストの会、自由民主党(都議会、本部)公明党、立憲民主党、
   共産党 (会長、副会長、事務局分担にて)

 その他協会の活動
 1.ホームページ上 会員マイページ活用の推進
 災害情報等報告システム等

 新型コロナウィルス感染症関連に関する協会の活動
 1.新型コロナ感染症自宅待機者への訪問について、基本的な考え方・感染予防対策に関する動画作成
 ・新型コロナ感染症対策研修 および東京都委託事業の説明会
   8月16日 地区支部委員へ東京都委託事業の説明会
   8月19日 同上会員ステーション向け説明会(557名)
 ・東京都新型コロナ感染症自宅待機者への訪問看護事業協力ステーション交流会
   9月6日 第5波における情報共有
   2月7日 第6派における情報共有
 ・8月19日からホームページにて、動画配信
 2.防護物品の配布
  5月19日 希望のあった地区支部向け配付 (寄付物品)
       予防衣、N95マスク、フェースシールド

令和4年度東京都予算等に関する要望について

≪要望事項≫
ー ポストコロナを見据えた対策について

1.コロナ禍における看護職の処遇改善について
 看護職はその職に対し常に高い使命感と倫理観を持ち、日々の勤務を全うしているが、一方では様々な理由で多くの人が離職していることも現実である。
 看護職として誇りをもって働くことに相応しい処遇や手当が措置され、報われていると実感できる処遇を図られたい。
 あわせて看護職などの処遇改善のため、医療機関などに対する経営支援について一層の充実を図られたい。

2 看護職に対する感染症対策の教育の充実
 今回、200床未満の医療機関や介護関連施設などでは新型コロナウイルス感染症への感染を制御する必要性が改めて確認された。このため看護管理や感染対策など感染制御に関して専門性の高い教育を受けた看護師の養成を促進し、配置を義務付けるなど感染対策の一層の強化を図られたい。

3 感染症対策部署の保健師定数の増加と区市町村に所属する保健師への教育の充実

 新型コロナウイルスの感染拡大を受けて、保健所では感染症対策以外の保健師が兼務で対応に当たるなど、体制のひっ迫が深刻化している。
 政府は昨年末、感染症対策を専門で担当する保健師を現在の1.5倍に増やせるよう自治体への財政支援を拡充する方針を固めた。この政府方針のもと感染症対策の保健師の定数の増加を確実に行われるよう対応されたい。
 また、区市町村に所属する行政保健師は感染症対策に直接的に対応していない場合もあり、経験がないこともあるため新たに感染症教育の充実を支援されたい。

4 自殺対策の充実と従事する看護職の人材確保
 新型コロナウイルス感染症の拡大により、自殺者数は12か月連続で増加し、特に女性が大幅に増えるなど深刻な状況が続いている。
働く人や社会から孤立した人の自殺対策が必要であり、そうした自殺対策の充実とともに、自殺対策に従事する保健師・産業保健師・産業保健分野の看護師の人材確保を図られたい。

5 妊娠・出産・子育ての切れ目のない支援を支える看護職への人材育成
 新型コロナウイルス感染症対策による外出自粛などの社会環境の変化は様々な不安やストレスの要因となっており、特に子育て中の親子が不安や悩みを深め、深刻化している。
こうしたことから、地域における妊娠・出産・子育ての切れ目のない支援や、支援を必要とする子供や家庭への支援を充実するため、子育て支援を支える看護職への人材の育成を図られたい。

二 看護職の確保・定着推進及び養成と教育について

1 看護基礎教育4年制化について
 医療の高度化、地域完結型医療へ転換される中で、今後、看護職はより広範で高い能力が求められ、また役割も多様化している。
 そうした中、教育内容の拡充は時代の要請であるにもかかわらず、令和4年改正予定のカリキュラムでは修業年限は据え置かれたままである。
 限られた時間において教育内容の増加は実習時間の短縮を意味するが、他方現場との乖離は直接新人の早期離職に影響を及ぼす。このため医療を支える看護職はより広く深い学びが欠かせず、修業年限の延長は必須である。
 ぜひとも看護基礎教育4年制化の実現を図られたい。

2 准看護師養成停止について
 准看護師制度での教育内容は今日の医療に対応し、多職種と協働するなどの現状に対して不十分である。安全な医療の確保の観点から准看護師養成を停止し、看護師への移行に力をいれるよう働きかけられたい。

3 医療的ケア児を支援するための看護職などの配置と教育について
 令和3年9月から施行される「医療的ケア児及びその家族に対する支援に関する法律」により、医療的ケア児とその家族が適切な支援を受けることができるようサポート体制や教育の充実が図られることとなった。
 このため、保育所や認定こども園などの保育を行う施設、学校(小学校、中学校、高等学校、特別支援学級など)及び放課後児童健全育成事業において常勤の看護職を配置するとともに看護教諭や保育士に対する教育の充実を図られたい。

4 潜在看護師活用の体制整備とプラチナナース活用に向けた支援
 今回、新型コロナウイルス感染症関連の業務の必要性が高まった結果、潜在看護職を掘り起こし、その後就業に繋がったケースが多くみられ、潜在看護師が有する能力やスキルに応じて活躍の場があることが立証された。今後も、潜在看護師を活用できる体制を構築されたい。
 また、就業人口の減少により、経験豊富なプラチナナースの活用はこれからの時代に特に有用であることから、引きつづき就業継続について支援を図られたい。

5 訪問看護提供体制の強化
 2025年までに訪問看護従事者数は約12万人必要とされるが、現状の看護人材では約5万人に留まっている。都では訪問看護ステーションに対して様々な補助制度を設けているが、訪問看護の人材確保、事業所支援を中心とした訪問看護提供体制の強化の施策化を一層推進されたい。

三 災害発生時の連携及び支援について

1 災害発生時の自治体や医療機関などと連携のための仕組みづくりに対する支援
 大規模災害発生時には、看護職も自身が勤務する医療施設等に出勤できないケースが想定される。その場合に被災した場所から参集可能な最寄りの自治体、救護施設、医療機関などにおいて救護活動がスムーズに行えるような新たな仕組みづくりを検討されたい。
 また、災害時の広域災害救急医療情報システム(EMIS)は災害時の医療にかかわる情報共有のツールであり、東京都看護協会でも活用できるよう検討されたい。

2 災害支援ナース制度確立のための支援と活用について
 看護協会では、「災害支援ナース」の制度があり、養成研修及びこの要員の維持のため2年ごとに更新研修を実施し、現在、東京都看護協会でおよそ1,000人の看護職が登録されている。
この災害支援ナース制度の有効活用のための支援を図られたい。

【決算報告書】第5期