今年度の活動方針
東京都訪問看護ステーション協会は、2022年6月に「東京都の訪問看護将来ビジョン~2025年に向けて~」を策定し、各委員会を中心に取り組みを進めてきました。
近年、少子高齢化の進展や医療の高度化に伴い、在宅医療のニーズはますます高まっています。訪問看護は、このような社会情勢の変化に対応し、地域住民が安心して在宅で生活できるよう、重要な役割を担っています。しかしながら、訪問看護を取り巻く環境は日々変化しており、訪問看護ステーションの新規開設が増える一方で、閉鎖・休止するステーションも一定数あり、訪問看護師の人材定着や個々のスキル向上、更には地域における訪問看護ステーション全体の資質向上への影響が懸念されます。また、訪問看護ステーションが機能を広げ、地域住民を対象とした保険外事業の提案や企画・運営に携わるなど、先駆的な取り組みを進めていますが、地域差が生じています。
これらの現状を踏まえ、令和7年度は3つのビジョンに向けた活動を推進すると共に、過去3年間の取り組みを評価し、2030年に向けた訪問看護将来ビジョンの策定に取り組みます。あらゆる機会で会員の皆様の声を聞き、課題を整理し、検討を重ねていきます。
訪問看護サービスの安定的供給を目的とした人材確保と定着
訪問看護師があらゆる場面で活躍し、訪問看護に従事し続けられるよう、人材育成や訪問看護の魅力の発信に取り組み、訪問看護ステーションの運営支援や管理者支援体制の構築に注力します。
- 新卒・未経験者を育成する体制の強化
- プラチナ世代を中心とした人材資源の活用の推進
- 訪問看護ステーションの課題解決に向けた管理業務の支援
- インターンシップ等の体験機会の提供
- 病院看護師と連携した訪問看護の魅力の発信
訪問看護の資質の向上
都内の訪問看護ステーションの訪問看護師が、専門職としての能力の維持・向上に取り組み、訪問看護ステーション全体の資質が向上するよう努めます。
- 訪問看護キャリアラダーの導入支援および活用の推進
- 都内の訪問看護ステーションの相互連携や、専門性の高い看護師・セラピストとの協働促進
訪問看護の機能拡大
訪問看護ステーションが持つ機能を活かし、都内の各地域における課題に応じた取り組みを推進し、都民が安心して暮らせる地域づくりに貢献します。
- 災害対策マニュアルの改訂および災害時ネットワークシステムの構築
- 先駆的な取り組みを進めている地域の知見や工夫の共有
理事会 (概ね年3回開催)
- 総会の議決した事項の執行に関する事項、総会に付議すべき事項及び総会の議決を要しない会務の執行に関する事項について審議する
総務会 (概ね1ヶ月に1回開催)
- 総会及び理事会の決定に基づき、日常業務を遂行する
- 定例会議を行い、各委員会の執行状況を確認する
- 会員メリットのサービス内容の検討、および各委員会と連動した企画等を検討する
訪問看護推進委員会 (概ね月1回 開催)
Ⅰ.活動目標
- 都内の訪問看護への就業を促進するために、より多くの看護学生が訪問看護師になるための道筋が立てられるよう支援し、体験の機会を増やす。
- その人らしさを支え、切れ目のないケアを提供するために、病院看護師に訪問看護を知ってもらい訪問看護の活用と訪問看護への興味、関心を促す
- 都民が安心して暮らせるよう訪問看護をもっと知ってもらい、潜在看護師や今後看護師を目指したい学生へも訪問看護の魅力を発信する。
Ⅱ.活動計画
- 訪問看護に興味のある学生に、訪問看護の実際を知ってもらい在宅と病院の懸け橋となれる視点を持ってもらう。同時に将来的に訪問看護師を目指したいと思えるような訪問看護体験会を実施する。
- 病院の連携室や病棟看護師と顔の見える関係を築けるように、引き続き交流の場を設ける
- 訪問看護の魅力を発信できる看護フェスタなどに参加する
広報委員会 (16回開催 定期・各担当会議)
Ⅰ.活動目標
- 時代背景を考慮し、現在多くの人が活用しているデバイスに広報活動を切替、会員、医療機関や医療従事者、都民、訪問看護に興味のある看護へ協会内活動や情報発信、訪問看護の啓蒙活動を実施する
- 東京都訪問看護ステーション協会の活動情報発信に向けて、既に作成している協会の広報アイテムの活用方法を各委員会へ説明し、各委員会でその活動を外部へ情報発信できるようサポートする。
Ⅱ.主な活動内容
- 協会運営や委員会活協会運営や委員会活動が見える広報誌(そわにえ)を7月と1月に作成し各団体、医療機関(連携室含)、保健所・保健センター等の関係機関、看護師養成教育機関へ配布する。
- ホームページやソーシャルネットワークを活用し協会委員会活動や訪問看護活動等の情報発信を強化する。
- ホームページを活用し、訪問看護活動やサービスを受けている利用者紹介の動画配信をする。
- 訪問看護師の業務機能拡大や活用方法を医療機関や関係機関、都民、訪問看護に興味のある看護師に向けて紹介をする。
- 協会内委員会に向けて、広報アイテムの活用・運用方法等を紹介する。
研修委員会 (概ね月1回開催)
Ⅰ.活動目標
- 目的を明確にした実践的な研修の企画
東京都訪問看護ステーション協会が提供する研修の目的を明確にし、他の民間研修では学べない内容を取り入れることで、事業所の運営やサービスの質を向上させる。
- 看護師の成長を支える研修の実施
中堅看護師がキャリアアップできるよう支援し、教育指導のスキルを高める研修を実施。また、初心者向けの技術向上研修を行い、事業所全体のケアの質を高める。
- 専門職との連携強化と活躍の場の拡大
訪問看護事業所におけるセラピストとの連携を深める研修を企画。また、専門看護師・認定看護師・特定行為研修修了者が実践でより活躍できるよう支援する準備を進める。
Ⅱ.活動計画
- 教育の補助となる研修の実施
- 精神科算定要件研修 3回/年
- 請求業務研修 オンデマンド配信
- キャリアラダーの活用 オンデマンド配信
- キャリアラダーに沿った研修の実施
- 訪問看護新任研修 訪問看護きほんの「き」 オンデマンド配信
- 初心者向け リンパ浮腫研修 「在宅における下肢浮腫のケア(仮)」 7月予定
- 初心者向け フットケア研修 「在宅でのフットケア(仮)」 11月予定
- 中堅者向け 実習指導者研修 5月9月予定
- 熟練者向け セラピスト合同研修 「研修名未定」 2月予定
地区支部委員会 (全体会2回、各地区支部での活動)
Ⅰ. 活動目標
- 地域共生社会構築に向け、地域の保健福祉医療事業に訪問看護ステーションが積極的に関わるよう、地域行政、他職種との連携を推進する
- 地域の特性を考慮し、地域住民のニーズに合った活動を検討し、訪問看護ステーションの役割を広げる
Ⅱ. 活動計画
- 各地区支部会を年に2~3 回開催し、目標に沿った活動の取り組みを行う。
- 各委員会と共同して、協会が実施する活動に協力する。
- 地域行政の災害体制など、地区支部として行政と災害時の協定を結べるよう情報発信し連携に繋がる支援を行う。
災害対策委員会 (全体会概ね1ヶ月に1回開催、係での活動)
Ⅰ.活動目標
- 地域共生社会において地域での災害看護の役割が行えるように、災害対策研修の企画、災害訓練を通してステーションの防災対策、支援内容を検討する。
- 災害対策に活用できる「災害時対応マニュアル」改訂版を完成し、ホームページの会員マイページに掲載する。
- 当協会の災害対策に対応した災害時ネットワークシステムの運用を検証する。
Ⅱ.活動計画
- 地域で発生する災害(地理的変動・悪天候・人的・新型コロナウィルス等)に対して事業を継続していくための備え等の行動をとれるよう、災害訓練を実施する。年1回集合で実施し、連携体制、安否確認、看護内容について検討する。
- 災害の知識、事前準備、発災時の行動、利用者の自助力を高める内容や当協会の本部機能を含めた「災害時対応マニュアル」改訂版を作成する。
- 災害時ネットワークシステムが確立するために項目の再検討を行い、活用できるよう会員への周知、情報発信を行う。
訪問看護将来ビジョン構想プロジェクト(概ね1ヶ月に1回開催)
Ⅰ.活動目標
「東京都の訪問看護将来ビジョン~2025年に向けて~」に基づく、これまでの東京都訪問看護ステーション協会の活動を振り返り、2030年に向けた東京都の訪問看護将来ビジョンを構想する。
Ⅱ.活動計画
2030年度に向けた東京都の将来ビジョンの策定に向け、「東京都の訪問看護将来ビジョン~2025年に向けて~」に基づいた各委員会のこれまでの活動を踏まえ情報収集を重ね、分析・評価を深度化し、課題やそのための取り組みを検討します。
行政及び外部委員会との協働
Ⅰ.活動方針
地域包括ケアの一員として、行政及び関係団体・多職種との連携協働を深める
Ⅱ. 活動計画
A.行政からの委託事業
- 東京都医療的ケアの必要な児童・生徒の通学車両整備事業(東京都教育庁) (平成30年~)
- 東京都難病患者在宅レスパイト事業 (令和4年~)
- 墨田区認知症初期集中支援事業(墨田区) (令和1年~)
- 墨田区多職種連携研修(墨田区) (令和1年~)
- 墨田区在宅人工呼吸器災害時マニュアル作成 (令和2年~)
- 災害時医療協定(墨田区) (令和2年~)
- 文京区認知症ともにパートナー事務局業務 (令和2年~)
- 災害時医療協定(北区) (令和4年~)
- 東久留米市 市立学校への医療ケア看護師派遣 (令和5年~)
- 文京区保育園医療的ケアの必要な児童・生徒の通学車両整備事業 (令和6年~)
- 杉並区立障害者通所施設の送迎における医療的ケア提供業務委託 (令和6年~)
- 墨田区退院時移行支援 (令和6年~)
- 災害時医療協定(大田区) (令和7年~)
- 墨田区若年がん患者在宅療養支援(令和7年~)
B.委員会活動
- 東京都看護協会看護フェスタ実行委員会 (推進委員会)
- 訪問看護連絡協議会全国会議(日本看護協会) (会長、副会長)
- 全国都道府県訪問看護連絡協議会交流会(全国訪問看護師事業協会) (副会長)
- 関東甲信越訪問看護ステーションブロック会議 (副会長、地区支部委員長)
- 東京都看護管理者連絡会幹事会議 (理事)
- 東京都看護管理者連絡会研修会 (理事)
- 東京都特殊疾病対策協議会・医療連携支援対策部会 (会長、副会長)
- 東京都小児慢性特定疾病対策地域協議会 (理事)
- 東京都在宅医療推進フォーラム実行委員会 (会長、副会長)
- 東京都薬剤師会「訪問看護ステーション・ケアマネジャー・医療機関等との連携による在宅医療薬支援事業関係者連絡会」 (副会長)
- 東京都医師会「地域包括ケア委員会」(毎月第4木曜日) (会長)
- 東京都医師会「東京都多職種連携連絡会」(毎月第2木曜日) (副会長)
- 東京都地域構想会議「在宅ワーキング」年1回 (各ブロック代表者12名)
- 東京都予算に関する要望提出(東京都看護協会・東京都看護連盟と協働)
東京都・都民ファーストの会・自由民主党(都議会・本部)・公明党・立憲民主党・共産党
(会長、副会長分担)
- 東京都ナースプラザ運営会議 (会長)
- 東京都看護協会・東京都看護連盟と協働 (会長・副会長・理事)
令和7年度東京都予算等に関する要望