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2024年度加入ステーション数
(2024年04月27日現在)
619ステーション

今年度の活動方針

 東京都訪問看護ステーション協会では、東京都の在宅医療を取り巻く現状を基礎データより分析し、訪問看護の実態を把握するためのアンケートを実施しました。これをもと、東京都の訪問看護の課題を明確化し、2040年を見据えた「東京都の訪問看護将来ビジョン~2025年に向けて~」を作成しました。将来ビジョンとして3つのビジョン、目標、アクションプランを策定し、令和4年度からビジョンに向けた具体的な取り組みを進めていきます。

 新型コロナウィルス感染症の長期化により、訪問看護ステーションは、従来の医療・介護保険による事業だけでなく、行政をはじめ関係機関より新たな社会的役割を求められています。訪問看護の多様化に対応していくためにも、訪問看護師の人材を確保し、資質の向上に努め、地域住民に最も近い存在である訪問看護ステーションの視点を活かし、地域に密着した訪問看護ステーションとしての役割を広げ、地域共生社会の実現を目指します。

 

1.東京都の訪問看護ステーションの課題

 1)訪問看護師の高齢化に伴う人材不足

 2)訪問看護に求められるニーズの多様化

 3)社会が求める訪問看護の役割・機能の変化

 

2.東京都訪問看護ステーション協会の訪問看護将来ビジョン

 1)訪問看護サービスの安定的供給を目的とした人材確保と定着

  (1)訪問看護師の雇用促進のための取り組み強化を図る

  (2)訪問看護師の働き方の改革を推進する

 2)訪問看護の資質の向上

  (1)訪問看護ステーションに従事する訪問看護師、セラピストの質の向上を行うために、一体的な研修を企画する

  (2)小児、難病、精神科、看取りなど専門的な研修を実施する

  (3)訪問看護ステーション協会への入会率を上げ、キャリアラダーの普及を行う

  (4)地域のリソースを把握し、地域ごとの質の向上ができるような活動と交流を深める

 3)訪問看護の機能拡大

  (1)地区支部ごとに地域課題を把握し、行政及び地域住民と顔の見える関係づくりを図る

  (2)訪問看護師の機能、役割をアピールし、できるところから、できる方法を行政と共に考え地域活動につなげる

  (3)行政の会議に積極的に参加し、訪問看護視点から情報を発信する

 

 

理事会

 

第1回(令和4年7月4日)

審議事項

1.令和3年度事業報告・令和4年度事業計画    確認

 決算報告・予算                       

2.新顧問紹介

3.公益法人化へ向けて

 1)検討委員会について

 

第2回(令和5年3月30日)

  審議事項

1.令和4年度事業報告・令和5年度事業計画 について         

   予算(案)について                      

2.今季退任理事・監事と次期理事・監事について            

3.ホームページ更新について

 

第3回(令和5年6月12日)

審議事項

1.令和4年度実績・決算報告について                  

2.令和5年度計画・予算案について

 

 

総務会

 

第1回(令和4年7月4日)

審議事項

1.令和3年度事業報告・令和4年度事業計画    確認

 決算報告・予算                       

2.新顧問紹介

3.公益法人化へ向けて

 1)検討委員会について

 

第2回(令和4年9月7日)

  審議事項

1.北区災害時協力協定について                    

  足立区から認知症初期支援についての契約依頼あり

2.ホームページのリニューアルについて  

 

第3回(令和4年10月4日)

 審議事項

1.公益法人化へ向けての検討について                 

2.ホームページのリニューアルについて                

3.東京医科歯科大学からの研究依頼について              

「専門性の高い看護師を地域医療の質向上に利活用するための研究

 

第4回(令和4年11月16日)

審議事項

1.(仮)組織見直し検討会について                   

2.ホームページのリニューアルについて  

               

第5回(令和5年1月17日

  審議事項

1.組織見直し検討会について                   

2.令和5年度計画                           

3.ホームページのリニューアルについて   

              

第6回(令和5年2月17日)

審議事項

1.(仮)組織見直し検討会について                  

2.令和4年度報告・令和5年度計画                 

3.ホームページのリニューアルについて                 

4.東久留米市小中学校医療ケアの必要な児への導尿の契約について 

 

 

第7回(令和5年3月30日) 

審議事項

1.次年度計画について                      

2.ホームページ改訂(案)について                    

3.そわにえの増ページについて(8P➡12Pへ)

 

第8回(令和5年6月12日)     

審議事項

1.総会要項(令和4年度事業・決算報告、令和5年度事業計画・予算)確認

2.委員会の委員について

 

 

 委員会活動

 

訪問看護推進委員会 (11回開催)

 

Ⅰ.活動目標

 1.都内の訪問看護への就業を促進するために、より多くの看護学生が新卒、既卒での訪問看護師になるための道筋が立てられるよう支援する

 2.都内の訪問看護への就業を促進するために多様な経験を持つ潜在看護師へ向けて、働く場としての訪問看護の魅力を伝える

 3.その人らしさを支え切れ目のないケアを提供するために、病院看護師に訪問看護を知ってもらい訪問看護の活用を促進する

 

Ⅱ.活動(内容)

 1.より多くの看護学生の参加ができるように募集を多くの大学へ出した。しかし、在宅担当教員などに十分周知されていなかったこと、夏は就職が既に決まっている学生への募集だった為参加者が6名と全く伸びなかった

 2.潜在看護師への訪問看護の周知は看看連携の検討を先に進めたため、実施できていない。

退院調整に関わる看護師へ対象を限定し、より良い連携を通して訪問看護を知ってもらうために、退院支援がスムーズになる!訪問看護師との座談会を開催。12名申し込みがあり10名の参加が得られた。アンケート結果より、今後の座談会開催を望むと意見を頂いている

 

広報委員会 (7回開催、SNS検討委員会8回)

 

Ⅰ.活動目標

 1.会員及び各委員会に向け、協会内活動が理解でき、また会員事業所や支部活動などの情報発信できる広報誌の作成

 2.会員や東京都内の訪問看護ステーションが、広報を通して人材育成・ケアの質向上に向けた取り組みができるような情報発信できる広報誌の作成

 3.ホームページやSNSなど、広報誌以外の媒体を通して、より多くの会員が閲覧できる広報発信の強化

 4.広報活動を通して、医療機関や多くの医療者、都民へ訪問看護の役割や活動を発信する

 

Ⅱ.主な活動内容  

 1.協会運営や委員会活動の見える化、研修等を盛り込んだ広報誌(そわにえ)を7月と1月に作成し配布した。発行部数は7月3,000部、1月3,000部

 2.メルマガやTwitterを活用し研修情報等の情報配信をした。

 3.次年度に向けてホームページが活用できるようバージョンアップ検討・会員だけでなく誰でも検索できるようホームページ検討、作成した。

 4.広報誌(そわにえ)を通して、病院連携室に向けて協会を周知できるよう働きかけた。都民に向けて、訪問看護普及努力は十分に発信することはできなかったが次年度の課題として継続的に検討をしている。

 

研修委員会(概ね1ケ月に1回程度開催

 

Ⅰ.活動目標

 1.東京都内の訪問看護師に向け新人看護師へ訪問看護の独自性や魅力を伝えることで、訪問看護師としてのアイデンティティを育成し人材定着につなげる  

 2.中堅看護師のキャリア開発や教育指導方法の支援、あるいは、ケアにおける倫理的課題や組織内課題を乗り越えられるようサポートし、事業所のケアの質の向上につなげる

 

Ⅱ.主な活動内容

 1.総務会と協働で訪問看護師の質の向上及び事業所内で教育や学習の補助となる研修の実施        

  ・精神科訪問看護研修~基礎編~3回/年

  ・請求業務研修   (オンデマンド開催)

 2.キャリアラダーに沿った研修の実施

  実績は、下記の通り

 

地区支部委員会 (概ね年に1回開催+地区支部会を年2~3回開催)

 

Ⅰ.活動目標

 1.地域共生社会構築に向け、地域の保健福祉医療事業に訪問看護ステーションが積極的に関わっていけるよう、地域行政、他職種との連携を推進する

 2.地域の特性を考慮し、地域住民のニーズに合った活動を検討し、訪問看護ステーションの役割を広げる

 

Ⅱ.主な活動報告

 1.先駆的な取り組みをしている地区支部の活動について4地区(墨田区・北区・文京区・大田区)に発表していただいた。研修会は『地域に必要とされる訪問看護の新しい役割について『~各地区支部における行政や関係団体からの委託事例~』

 (令和4年8月9日オンライン(将来ビジョンプロジェクトと合同企画)

 

災害対策委員会5回開催

 

Ⅰ.活動目標 

 1.地域共生社会において地域での災害看護の役割が行えるように、災害対策研修の企画、災害訓練を通してステーションの防災対策、支援内容を検討する

 2.災害対策に活用できる「災害時対応マニュアル」改訂版を作成し発行する

 3.災害時ネットワークシステムの運用を検証し、災害時のネットワーク体制を構築する

 

Ⅱ.主な活動内容

 1.地域の防災意識を高めるために、11月26日(土)に災害訓練として「身の回りで起こる災害シナリオを考えてみよう」をオンラインで実施し、40名近くの参加があった。参加者内訳は事業所管理者が約7割、訪問看護スタッフが3割弱と、前年度と比較し訪問看護スタッフの割合が増えた。

 2.災害の知識、事前準備、発災時の行動、利用者の自助力を高める内容を含めた「災害時対応マニュアル」改訂版は作成中である。

 3.災害時ネットワークシステムのフォーマットの改定・運用方法を検討中である。

 

訪問看護将来ビジョン構想プロジェクト(概ね1ヶ月に1回開催)

 

Ⅰ.活動目標

「東京都の訪問看護将来ビジョン~2025年に向けて~」を会員に向け周知するとともに、2022年度のアクションプランの進捗管理ならびに目標達成度を評価し、2023年の東京都訪問看護ステーション協会の事業計画につなげる

 

Ⅱ.主な活動内容

 1.「東京都の訪問看護将来ビジョン~2025年に向けて~」をホームページに公開するとともに冊子として会員及び都内関係機関に配布した。

 2.令和4年11月にアクションプランの進捗状況を各委員会に確認。これを基に令和5度東京都訪問看護ステーション協会の活動方針を検討した。

 3.地区支部委員会と共に、地区支部の活動状況及び先駆的取組を行っている地区の報告会を企画し、オンラインで実施した。

 4.訪問看護推進委員会と共に、訪問看護の魅力を伝え訪問看護の活用の促進につなげる看看連携の会の企画はできなかったので、次年度引き続き検討していく。

 

公益法人化へ向けての検討委員会(概ね1ヶ月に1回開催)

 

Ⅰ.活動目標

 1.より充実した組織体制を構築するとともに、公益法人化についての方向性を検討する

 

Ⅱ.主な活動内容

 1.公益法人化に必要な要件等について検討するとともに、メリット、デメリットについて 検討した。

 2.公益法人を目指す前に、まずは組織体制を強化すること、令和5年度理事等の満期交代 へ向けて次期理事会等体制を検討した。

 3.外部会議への参加委員の割り当てについて検討した。

 

行政及び外部委員会との協働

 

Ⅰ.活動方針

 地域包括ケアの一員として、行政及び関係団体・多職種との連携協働を深める。

 

Ⅱ. 活動実績

A.行政からの委託事業

1.東京都医療的ケアの必要な児童・生徒の通学車両整備事業(東京都教育庁)

 1)令和4年4月~令和5年3月まで 実施分

   (1)基本的に訪問看護を契約している児童・生徒を対象に支援した。

   (2)対象となる契約児童がいるステーションが、協力可能な範囲で依頼した。

   (3)対象学校数:16校  協力ステーション数:33事業所

    ・対象児童・生徒:61コース 

    ・実施回数合計  登校便 6,075回  下校便 3,543 回 

2.東京都新型コロナ感染症自宅待機者への訪問看護」事業(東京都感染症対策部)

 1)令和4年4月1日~令和5年3月31日 実施分

   (1)協力市区 28市区

   (2)協力ステーション 170事業所

   (3)訪問実施総数

    ①自宅療養者(医師の指示) 306回

    ②自宅待機者(保健所依頼) 407回

3.東京都難病患者在宅レスパイト事業

   (1)協力ステーション 138事業所(東京都登録)

   (2)レスパイト訪問実施数 53件

4.墨田区委託事業

 1)認知症初期集中支援事業(令和4年4月1日~令和5年3月31日)

   ・支援対象者 19名

   ・訪問支援  136回

   ・チーム員会議12回

 2)墨田区多職種連携研修(令和4年7月~令和4年12月)

   ①研修会企画会議

   ②研修会実施「墨田区における災害対策について」 令和4年12月4日 ONLINE(ZOOM活用)

     参加者 99名(医師、薬剤師、ケアマネ、訪問看護師、理学療法士、作業療法士)

  3)在宅人工呼吸器療養者の災害時支援マニュアル作成

    ・新規2件、更新新規1件、更新9件)

  4)新型コロナ関連

   ①自宅待機者への状態観察対応派遣 9名

   ②新型コロナワクチン接種支援 7月~12月 4会場へ延べ 694名協力

                   

5.文京区委託事業(文京区地区支部)

  1)認知症ともにパートナー事業事務局契約

    ・実績  87件

    ・会議  16回

6.北区新型コロナ健康観察事業

  1)電話観察 894回

  2)訪問観察  30回

7.港区との契約(新型コロナ感染者への訪問看護について)(港区地区支部)

8.杉並区との契約(新型コロナ感染者への訪問看護について)(杉並区地区支部)

 

B.外部委員会活動

1.東京都看護協会看護フェスタ実行委員会 (推進委員会)

2.訪問看護連絡協議会全国会議(日本看護協会)(会長、副会長)

3.全国都道府県訪問看護連絡協議会交流会(全国訪問看護師事業協会)(副会長)

4.関東甲信越訪問看護ステーションブロック会議 (副会長、地区支部委員長)

5.東京都看護管理者連絡会幹事会議  (理事)

6.東京都看護管理者連絡会研修会   (理事)

7.東京都特殊疾病対策協議会・医療連携支援対策部会(会長、副会長)

8.東京都在宅医療推進フォーラム実行委員会(会長、副会長)

9.東京都薬剤師会「訪問看護ステーション・ケアマネジャー・医療機関等との連携による在宅医療薬支援事業関係者連絡会」(会長)

10.東京都医師会「地域包括ケア委員会」;(毎月第4木曜日)(会長)

11.東京都医師会「東京都多職種連携連絡会」(毎月第2木曜日)(会長)

12.東京都新型コロナウィルス感染症対策医療介護福祉サービス等連携連絡会(会長)

13.東京都予算に関する要望提出(東京都看護協会・東京都看護連盟と協働、

 東京都、都民ファーストの会、自由民主党(都議会、本部)公明党、立憲民主党、共産党(会長、副会長分担にて)

 

 

その他協会の活動

1.ホームページ上 会員マイページ活用の推進

 災害情報等報告システム等 

 

 

令和5年度東京都予算に対する要望について

 

新型コロナウイルス感染症に対してはワクチン接種が進みつつあるものの、第7波による新規感染者の爆発的増加はこれまで経験したことのないものであり、さらに新型コロナウイルスの変異や新たな感染症の発生も確認されるなど、今も大変厳しい状況にあります。

こうした中、都内で働く約14万人の看護職は職場でも自身の日常生活でも感染管理に細心の注意を払いながら、都民の命と健康を守る最前線で職務に邁進しています。

日頃から看護職への十分な処遇があってこそ、新たな感染症流行や自然災害などの緊急事態にも的確に対応でき、都民の健康を守ることが可能となります。

こうした点を踏まえ、令和5年度の東京都予算編成にあたっては、コロナ禍で明らかになった課題を解決し、将来に備える看護提供体制の基盤強化を強く要望いたします。

 

1.看護現場のコロナ禍からの疲弊回復と、より安全・安心な労働環境の確立について(重点要望)

 新型コロナウイルス感染症対応による臨床現場の疲弊は、極めて大きく深刻である。まずはマイナスからゼロへの回復を図るとともに、すべての看護職がやりがいをもって働き続けられる労働環境の整備について検討されたい。

(1)看護職の処遇改善と働き続けられる労働環境づくりへの支援

 2年以上新型コロナウイルス感染症対応にあたってきた看護職の心身の負担は非常に大きい。また現場では、新人教育に人手も割けず育成が遅れ、さらに疲弊したベテランが離職するという悪循環も生じている。

 昨年、政府による看護職員への処遇改善の取り組みが行われたが、都においても、看護職の重要性と専門性に対する正当な評価とそれらに見合った収入の確保、さらには仕事と家庭を両立し、働き続けられる労働環境整備を支援するとともに、国に対しても強く要請されたい。

(2)看護職の感染症対応能力や専門性の高い看護職育成への支援

 コロナ禍で明らかになったように、専門・認定看護師や特定行為研修修了者などの専門性の高い看護職や優秀な看護管理者(看護部長・師長等)は必ず必要であり、またその育成には時間を要する。

 都はこれまで以上に看護職の感染症対応能力の底上げを図るとともに、専門性の高い看護職や看護管理者の育成のために医療施設等への財政支援についても検討されたい。併せて、高度な専門性を身に着けた看護職への正当な評価と処遇も支援されたい。

(3)都の医療施設の約70%を占める中規模未満(200床未満)の病院等への支援

 中規模未満医療施設は、地域の中核として住民の健康を守る重要な存在だが余力は小さく、新型コロナウイルス感染症対応ではクラスター発生等の課題が生じた。

 中規模未満医療施設での看護労働力の充実、質の向上は都民の健康に直結する喫緊の課題である。

 地域包括ケアシステムの実現に向けて不可欠な医療資源である中規模未満医療施設における看護人材確保支援や労働環境整備支援を強化されたい。

 

2.2040年を見据えた、都民の命と暮らしを守る持続可能で質の高い看護提供体制の構築について

 2040年前後には国内最多数の高齢者を抱える東京都において、地域包括ケアシステム構築は喫緊の課題である。その実現には質の高い看護職の人数確保はもちろん、活動の場や役割の拡大が欠かせない。 

東京が都民にとって最期まで安心して暮らせる街であるために、以下の対策について検討されたい。

(1)都立看護学校の4年制化及び准看護師養成の廃止

 医療の高度化・複雑化、患者像の多様化、地域・在宅看護分野など、看護職に必要不可欠な知識・技術は顕著に増大している。都民の看護ニーズに十分応えるためにも都立看護学校での看護師基礎教育の4年制化を推進するとともに、同時に新たな准看護師養成については廃止を検討されたい。

また、現在就業している准看護師の質の向上や看護師へのキャリアアップのための研修・教育機会への支援を強化されたい。

(2)都立病院副院長への看護部長の登用

 全国で看護部長が副院長に登用されている割合は14%(2021年)であり、500床以上の病院では51.2%と年々上昇している(なお、埼玉県立病院機構では、すべての病院で登用)。その意義として、看護職の視点を活かした患者中心の医療の病院内外への浸透や、チーム医療のスムーズ化等が明らかになっている。また看護部長の多くは女性であることから、女性の活躍のロールモデルにもなっている。

時代の潮流や都民のニーズに対応した質の高い医療サービス提供のため、都立病院副院長への看護部長の登用を検討されたい。

(3)地域(保健所・訪問看護ステーション・介護施設等)で働く看護職への継続教育の拡大

 地域包括ケアシステムにおいて重要な役割を持つ保健所、訪問看護ステーションや介護施設等で働く看護職には、感染症対応はもちろん、在宅療養者への特定行為や看取りも含めた能力が不可欠である。しかし、病院と異なり自施設内での研修機会は少なく、労働力不足や資金の課題により外部の研修等への参加も困難で、必要な知識や技術のアップデートができにくい状況にある。

地域包括ケアシステムを実現し、安定的に都民の健康を守っていくために、地域の看護職のための継続教育事業及びその財政支援の実施を検討されたい。

(3)健康危機管理人材(災害支援ナース)の育成支援

世界ではおよそ10年ごとに新興感染症流行が発生しており、また首都直下地震を避けられない東京都において、感染症対応も含めた健康危機管理人材の育成強化はまさに喫緊の課題である。

現在東京都看護協会が実施している災害支援ナース養成・継続研修への支援、また、都内の看護職の災害対応能力の底上げのために災害支援ナースの活用を検討されたい。

(4)時代の課題の解決のための看護職の活用(自殺予防対策、ヤングケアラー対策)

 看護職は住民にとって最も身近な医療従事者であり、現代のさまざまな課題解決にも活用できる可能性が高い。

例えば、自殺企図での入院時から保健所や地域包括支援センター、訪問看護の連携があれば、自殺企図の段階での自殺予防、家族の後追い自殺やストレスによる健康被害予防や軽減が可能となる。病院と地域の看護職が連携したシームレスで効果的なケアを可能にする、新たな制度を検討されたい。

また、ヤングケアラーも新たな課題の1つである。家庭訪問を行う保健師や訪問看護師は、患者の病状だけではなくその生活環境も視野に入るため、ヤングケアラーの早期発見・対応につなげることが可能である。ヤングケアラー対応を保健師や訪問看護師などの活躍の場としての位置づけ、対応能力向上のための研修等の実施、また早期対応を可能にする地域と医療機関等の連携体制の構築を検討されたい。